アジアのサッカー強豪国がしのぎを削るEAFF東アジアカップは、今年で10年目を迎える。大会が公式にスタートしたのは2003年12月に日本で開催された第1回東アジア選手権である(昨年、EAFF東アジアカップに名称変更) が、その歴史を語るうえで、大会の前身となったダイナスティカップも欠かすことはできない。
第1回ダイナスティカップは1990年に北京で開かれ、その後は2~3年おきに中国、香港、日本で第4回まで開催。アジアのサッカー強国である韓国が初代王者に輝き、その後は急速に力をつけた日本が3大会連続で制している。
東アジアにおけるサッカーの普及と活発な交流のため東アジアサッカー連盟(EAFF)が設立されると、EAFF東アジアカップはサッカーの著名な国際大会としての地位を確立した。当初は韓国、中国、日本、朝鮮民主主義人民共和国、香港のみに出場権が与えられたが、その後はチャイニーズ・タイペイ、グアム、マカオ、モンゴル、北マリアナ諸島へと拡大。これにより大会の質が高まり、新たな出場国のため予選が開催されるようになった。2003年にスタートして以来、EAFF東アジアカップは各加盟協会から手厚い支援を受け、2年周期で開催されている。2005年からは女子大会も始まり、男女を通じたサッカーの祭典となっている。
男子では前回王者の中国が、韓国と並んで最多優勝を誇る。今年のEAFF東アジアカップ2013開催国の韓国は2003年大会(東京、埼玉、横浜で開催)で初代王者となり、2008年大会(中国・重慶)で2度目の栄冠を手にした。中国は2005年大会(韓国・大田、全州、大邱)で初優勝し、2010年大会(東京)で2度目の優勝を果たしている。日本に優勝経験がないのは意外だが、一方でAFCアジアカップでは好成績を残しており、優勝は最多の4回である。
女子大会においては、日本サッカーがワールドクラスのスキルを持つことは実証されている。2008年(中国・永川)、2010年(東京)と2連覇しており、2大会とも見事に全勝優勝を果たした。なお、大会初代王者は韓国。当時アジアを牽引していた中国と朝鮮民主主義人民共和国を退ける番狂わせを演じ、第1回大会の栄冠を手にしている。
EAFF東アジアカップ2013は韓国のソウル、ファソンの両都市で、7月20日から28日に開催される。今大会で最も注目すべきは、オセアニア最強との呼び声も高いオーストラリアがゲストチームとして初参戦することだ。ゲスト参加とはいえ予選を勝ち上がってきているだけに、東アジア各国のチームと見ごたえのある熱戦を繰り広げることだろう。オーストラリアの出場は大会の質が高まっていることを示唆しており、非常に重要な出来事である。