Overview
東アジアサッカー3強の一角を占める中国は今、ショッキングな敗戦に揺れている。タイに1-5で負けるという屈辱を味わったのだ。東南アジアでは強豪と言えるものの格下の相手である。世界の潮流であるスペインサッカーを取り入れるため招聘されたホセ・アントニオ・カマーチョ(Jose Antonio CAMACHO)監督だったが、想定外の敗北により辞任した。韓国と同様、中国代表は混乱の中で大会に出場することになる。EAFF 東アジアカップ2013では、カマーチョの下でアシスタントコーチを務めていた傅博(FU Bo)が暫定監督を務める。指揮官交代でチームにどのような変化がもたらされるのか、興味深いところだ。批判を避けるためか、傅博はチームを大幅に刷新してはいない。タイ戦に出場していた選手のうち馮瀟霆(FENG Xiaoting)や趙鵬(ZHAO Peng)など何人かは外れたが、大部分の選手は残留。プライドを取り戻したいという選手たちの欲求を活かすため、再びチャンスを与えると同時に、今まで通りの状態を保つことでチームの綻びを最小限にとどめたいと傅博は考えているようだ。鄭智(ZHENG Zi)、孫祥(SUN Xiang)、郜林(GAO Lin)といった各ポジションで鍵となりそうな選手を招集することも忘れていない。プライドは傷ついたものの、中国代表がそのポテンシャルを存分に発揮する準備はできているようだ。引き裂かれた自尊心を回復し、前回王者の意地にかけて旋風を巻き起こせるか、興味は尽きない。
Head Coach 傅博(FU Bo)
傅博はカマーチョ前監督時代、A代表のアシスタントコーチと同時にU-22中国代表監督も務めていた。タイ戦での負けを受けて辞任したカマーチョに代わり、EAFF 東アジアカップ2013でA代表を指揮する。前回の2010年大会で中国が栄冠を勝ち取ったとき、傅博は高洪波(GAO Hongbo)監督(当時) のアシスタントコーチだった。カマーチョ監督時代は代表選手とスペイン人監督との橋渡し役を演じた。今回暫定監督となった彼に与えられた時間は、EAFF 東アジアカップ2013のわずか3試合である。中国サッカー協会は、EAFF 東アジアカップ2013終了後、新たな監督を招聘してAFCアジアカップ2015に臨むと発表した。正式な監督の椅子が空いたままでは求心力が低下しかねないが、暫定監督として満足のいく結果を残せば、傅博がその席を埋めるチャンスはある。加えて、名誉回復をめざす代表チームの規律は高まっているため、求心力低下の不安は少ない。
Star Player 张琳芃(ZHANG Linpeng)
広州恒大で活躍するDFの张琳芃は、AFCチャンピオンズリーグでも他チームに一目おかれる存在である。中国スーパーリーグ最高のDFとして知られ、イメージやプレースタイルがスペインのDFセルヒオ・ラモス(Sergio RAMOS)に似ていることから、ファンにつけられた愛称は「ザンモス 」。中国の育成システムが生んだ傑作であり、力強いタックルとマンマークでの守備能力が評価されている。ただし、アグレッシブなプレー傾向により、レッドカードを受けやすいのが欠点だ。馮瀟霆(FENG Xiaoting)が代表から外れた今、张琳芃がどうやってチームの守備を統率するか、注目したい。