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EAFF EAST ASIAN CUP 2015 男子代表レビュー

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10passion

August 31, 2015

No.48

EAFF EAST ASIAN CUP 2015決勝ラウンドの男子は韓国が1勝2分の勝ち点5で優勝した。
昨年の9月に就任してから積極的に若手を起用してきたドイツ人のシュティーリケ監督だが、今回は欧州や中東のクラブでプレーする国外組だけでなく、これまで長く主力を担ってきたKリーグのベテラン選手も選ばず、有望な若手や代表経験の少ない中堅選手を中心としたメンバー構成で大会に挑んだ。
2−0で勝利した中国戦は何試合も同じメンバーでプレーしている様な組織的な戦いと連携が見られ、選手たちが代表チームのコンセプトを理解し、その中で自分たちの個性を発揮していることを結果でも内容でも表した。
大会のMVPに輝いたのはMFのチャン・ヒョンス(20)。正確なショートパスとサイドチェンジを織り交ぜて攻撃を組み立てる一方で、ボールが無いところで的確なポジションを取り、しっかりとリスクを管理する堅実な守備を見せた。
力強くダイナミックなチョン・ウヨン(6)とのコンビはまさに中盤の双璧であり、時に体を張って失点を防ぐ最終ラインの選手たちにとっても心強かったはずだ。また左のウィングながら背番号10に相応しい変化のある仕掛けで攻撃にアクセントを加えたイ・ジョンホ(10)は中国戦でゴールも記録し、今後の代表定着を大きくアピールした。
ただ、堅守と安定したゲーム運びが目立ったものの、3得点に終わった攻撃に関してシュティーリケ監督は欧州でプレーする選手たちの力が引き続き必要になってくることを表彰式後の会見でも隠さなかった。

2位で大会を終えたのは開催国の中国だった。[4−1−4−1]のシステムで挑んだ初戦の韓国戦は地元開催のプレッシャーもあってか、持ち前の縦へ突破する力強さを発揮しきれず韓国の堅守に阻また。韓国の鋭い抜け出しから2失点すると、そのまま逆境を跳ね返せずに敗れた。朝鮮民主主義人民共和国戦は攻撃時は3バック、自陣での守備時は5バックになる形で相手の2トップを封じながら、思いきったサイドアタックからユ・ダバオ(22)の先制点、さらにカウンターからのPKで加点し、最後は相手のパワープレーをしのいで勝利。日本戦は日本の機動力とテクニックに押し込まれる時間も長かったが、粘り強く戦い前回王者と1−1の引き分けに持ち込んだのはフランス人のアラン・ペラン監督にとっても手応えになったはずだ。
成長を続ける中国スーパーリーグは優秀な中国人のDFを育てる一方で、攻撃は外国人アタッカーに頼る部分もある。しかし、今大会は長く代表チームのエースに君臨するガオ・リン(18)だけでなく、決定力の高いユ・ダバオ(22)、技巧派のスン・ケー(16)、快足サイドアタッカーのウ・レイ(7)が相手に脅威を与えており、攻守にバランスの取れたチームになってきていることを印象付けた。

初戦の日本との1戦を終盤の逆転ゴールで勝利した朝鮮民主主義人民共和国は第2戦の中国戦では攻撃のストロングポイントを封じられ、相手の鋭いサイドアタックを90分通して封じきれずに2−0で敗れると、最後は韓国と好勝負を演じたものの、チャンスでゴールを決めきれずにスコアレスドロー。結果的に3位で大会を終えたが、攻守の両面で個性的な選手たちが躍動し、2018FIFAワードカップ アジア予選に向けてポジティブな要素を多く持ち帰ることとなった。
特に日本戦では途中出場の長身FWパク・ヒョンイル(20)が圧倒的な存在感を見せ、得意のヘディングで1ゴール1アシストを記録した。また鋭い飛び出しで同点ゴールを決めたリ・ヒョクチョル(7)、左右のサイドから正確なクロスを共有したソ・ヒョンウク(17)とロ・ハクス(16)など攻撃面で光るものが多かった。
さらに多くのピンチでビッグセーブを連発した守護神のリ・ミョングク(1)を中心としたディフェンスは相変わらずの粘り強さを感じさせた。他の3チームに比べて先発メンバーの変更が少なかったことは主力選手に対するキム・チャンボク監督の信頼を表すものでもあるが、2018 FIFAワールドカップ アジア予選でどういう起用法をしていくか注目される。

前回大会(2013年)王者として大きな期待を受けながら、2分1敗で4位に終わった日本は今年3月から指揮をとるハリルホジッチ監督が主張する様に準備期間が4チームで最も少なかった事情もあるが、チームとしての経験が足りなかった部分は大きいかもしれない。
3試合で確かな成長を見せた日本は3試合目の中国戦で勝利を得た試合で、前線の高い位置でのボール奪取から1タッチ主体のコンビネーションを駆使して何度もゴールに迫るなど、チーム作りの中でポジテョブな部分も見られた。その中で2得点を記録し、得点王に輝いた武藤雄樹(18)は欧州クラブ所属選手を加えた代表チームのメンバーに定着していく可能性を示した。またリオデジャネイロオリンピックを目指すU—22代表の中心を担う遠藤航(21)が所属クラブでのポジション(3バックの右ストッパー)とは異なる右SBとボランチという2つの異なるポジションで高いパフォーマンスを発揮したことも収穫の一つだ。
実際にハリルホジッチ監督は「真のA代表に入れる人材が何人か見つかった」と語っており、ここから本格化していく2018 FIFAワールドカップ アジア予選でEAFF EAST ASIAN CUP 2015のメンバーから誰が選ばれ、定着していくか楽しみを残す大会となったことは確かだ。

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