EAFF - EAST ASIAN FOOTBALL FEDERATION -

EAST ASIAN FOOTBALL FEDERATION

bg_shadow

COLUMN

mainimg

Language is changed ENGLISH日本語中文한국

EAFF EAST ASIAN CUP 2015 女子代表レビュー

+

10passion

August 31, 2015

No.49

見事な戦いぶりで2年前の前回大会を制した朝鮮民主主義人民共和国が再び強さを見せ付け大会2連覇を果たした。
今回はFIFA女子ワールドカップ2015カナダで日本が準優勝、中国がベスト8、韓国がベスト16と躍進してEAFF女子東アジアカップ2015に臨んできていたが、FIFA女子ワールドカップ2015カナダに参加できなかった朝鮮民主主義人民共和国が個人としてもチームとしても優勢に戦い3連勝。
初戦は非常に暑く、3試合目の韓国戦は風が強まっていたが、選手たちのプレーは最後まで揺るがなかった。9得点を奪った攻撃は非常に迫力があり、ゴール前の正確性でも4チームの中で突出していた。特に3得点を記録して得点王に輝いたキャプテンで10番のラ・オンシムは長身FWのキム・ユンミ(12)と素晴らしいコンビを形成し、ボールを持って前を向けば果敢に仕掛け、強烈なシュートに結び付けた。
また鋭いカウンターを中心とした攻撃にあって、中盤からの攻撃参加が目立っていたことも特筆に値する。特に中国戦で2得点したMFウィ・ジョンシム(13)の鋭い動きが多くのチャンスに結び付いた。
ベストディフェンダーに選ばれたキム・ナムヒ(15)を中心としたディフェンスも4失点はしたものの組織的なバランスが取れていることを示した。
韓国戦では持ち前の粘り強さも発揮して無失点。攻守がしっかりと噛み合う形で、来年に予定されるリオデジャネイロオリンピックの予選に自信をつける大会となったことは間違いない。

本来の主力の何人かを怪我などの理由で欠いていた韓国は朝鮮民主主義人民共和国に敗れて優勝を逃したが、参加4カ国の中でも90分の集中力は注目に値するものがあった。
中国戦も日本戦も簡単な試合展開ではなかったが、10人のフィールド選手が献身的に戦い、長身のGKキム・ジュンミ(18)が背後から支える守備は相手にとって難攻不落ともいえる堅実ぶりだった。攻めては素早いパス交換からFWジュン・ソルビン(11)が高い突破力を見せ、司令塔キム・ミンア(12)の意外性あるパスが明確なアクセントになった。ハーフタイムに控えの選手たちが1タッチ中心のショートパスを回す練習をこなしていたことからも、韓国の女子代表が目指している攻撃スタイルがはっきり分かるが、伝統的なハードワークがチームのベースにあるのは変わらない。
中国戦では終盤に何人もの選手が足をつる状態になりながら、最後まで走り抜いて勝利をものにしている。組織の強みはもちろん、個人でも1対1の強さと正確なパスを兼ね備えるDFファン・ボラム(16)や展開力に優れるクォン・ハヌル(13)、頼れるキャプテンのチョン・ソヒュン(8)など、要所にハイレベルなタレントを配したチームは攻守に成長してきていることを印象付けた。

準優勝したFIFA女子ワールドカップカナダ2015から大幅にメンバーを入れ替え、佐々木監督が“チャレンジなでしこ”と名付けた若き日本チームは善戦もかなわず朝鮮民主主義人民共和国と韓国に連敗。
高い位置からプレッシャーをかけ、中盤でボールをつなぐチームの方向性をしっかり出しながら、それぞれの選手が高度なテクニックや豊富なアイディアを見せるなど、内容的には指揮官が評価した部分もあるが、やはり経験不足のためかところどころで勝負弱さと不安定さが目に付いた。
しかし、若い選手は着実に成長し、中国戦での勝利に結び付けた。その中でも見事なミドルシュートで2得点したMF杉田亜未(22)はこれまで代表戦出場の経験は1試合しかなかったが、今後ベストメンバーに割って入る可能性を示した。また、本職はアタッカーでありながら右SBに抜擢された京川舞(13)は3試合スタメンで起用され、大会の中で最も大きな成長を見せた1人となった。
さらに、中国戦で途中出場ながら決勝ゴールを決めた横山久美(16)も最後に指揮官の期待に応え、自信を取り戻した様子だ。
今年のFIFA女子ワールドカップ2015カナダから今後のリオデジャネイロオリンピックの予選、本大会と連続して行われるスケジュールの中で、日本の様に各大会で好成績をあげ続けているチーム状態の中で若手が入り込んでいくのは簡単ではないが、選手層を厚くしていく意味で、今後につながる大会となった。

1ヶ月前のFIFA女子ワールドカップカナダ2015で中国はベスト8に進出しただけでなく、最終的に優勝したアメリカ合衆国を最後まで苦しめたチームとして賞賛された。しかも日本や韓国とは異なり、同大会で主力を担った選手のほとんどがそのままEAFF女子東アジアカップ2015のメンバーに名を連ね、地元での優勝に大きな期待がかけられた。それだけに3連敗で4位という結果は国民を失望させるものかもしれないが、彼女たちのプレーが全て悪かったというわけではない。
攻撃陣はエースのワン・シャンシャン(9)や世界的なサイドアタッカーであるハン・ペン(18)はもちろん、途中投入の多かったリウ・ジュン(7)やグ・ヤシャ(17)といったアタッカーが次々と繰り出す攻撃も非常に鋭かった。優勝した朝鮮民主主義人民共和国と最も接戦を演じたのも中国だったが、ゴール前で見えない精神的なプレッシャーの様なものが感じられたことも確かだ。
能力としては随所に高いものを見せながら、組織としての安定感、攻守の切り替えやゴール前での決定力などに課題が出た。今回の4チームやオーストラリアがリオデジャネイロオリンピック出場の2枠を争う予選に向けチームを再整備する良いきっかけになったとも言えるだけに、オリンピック予選で開催国となる日本の佐々木監督も、中国に勝利した後に警戒のコメントを発していた。

BACK