2011年6月上旬、国際Aマッチデーに合わせて東アジアサッカー連盟加盟国・地域が国際親善試合を行った。8日には中国の貴陽オリンピックスタジアムで東アジアサッカー選手権2010決勝大会優勝の中国代表と朝鮮民主主義人民共和国代表の東アジアサッカー連盟加盟国・地域同士が激突。現東アジアナンバー1チームの中国が2-0で勝った。
今年7月に始まるFIFAワールドカップ2014ブラジル大会アジア2次予選へ向けてチームづくりを進めてきた中国は主将の鄭智(ZHENG Zhi)と楊昊(YANG Hao)がダブルボランチを組んで先発したほか、東アジアサッカー選手権2010決勝大会得点王のFW曲波(QU Bo)らが先発に名を連ねた。
一方、1月にカタールで開かれたAFCアジアカップ2011を最後にジョ・トンソプ(JO Tong Sop)監督が退き、ユン・ジョンス(YUN Jong Su)監督が就任した朝鮮民主主義人民共和国は、エースストライカーのFWチョン・テセ(JONG Tae Se)は膝の負傷のために不在だったものの、GKリ・ミョングク(RI Myong Guk)やDFリ・クァンチョン(RI Kwang Chong)、MFパク・ナムチョル(PAK Nam Chol)らFIFAワールドカップ2010南アフリカ大会時の主力メンバーや2010年AFC最優秀ユースプレーヤーの注目FWチョン・イルグァン(JONG Il Gwan)が先発した。
序盤から試合の主導権を握った中国に対し、朝鮮民主主義人民共和国は前半半ばからメンバー交代を行うなど何とか試合の流れを取り戻そうとする。だが中国は前半36分、FW郜林(GAO Lin)からのラストパスを受けたMF鄧卓翔(DENG Zhuoxiang)が左足ダイレクトで先制ゴールをねじ込んだ。さらに中国は39分にもMF于海(YU Hai)の左アーリークロスを郜林が頭で合わせてリードを広げる。朝鮮民主主義人民共和国はチョン・イルグァンがゴールマウスを叩くの右足ミドルを放つなど中国ゴールへ迫ったが、無得点に終わった。
中国は5日にも昆明(中国)でウズベキスタン代表と国際親善試合を行い、1-0で勝利している。1月のAFCアジアカップ2011で引き分けた相手との再戦で中国は、東アジアサッカー選手権2010決勝大会最優秀GKの楊智(YANG Zhi)や鄧卓翔、MF趙旭日(ZHAO Xuri)ら同大会優勝メンバー6人が先発。前半を0-0で終えると後半21分、交代出場の郜林が決勝ゴールを決めた。中国は朝鮮民主主義人民共和国戦での勝利で現在国際Aマッチ3連勝中。一方、朝鮮民主主義人民共和国は中国戦の敗戦により、連勝が3でストップした。
AFCアジアカップ2011で優勝した日本代表は6月1日にペルー代表、同7日にチェコ代表とそれぞれホームで国際親善試合を行い、ともにスコアレスドロー。だが、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ(Alberto ZACCHERONI)監督就任からの連続無敗を10へ伸ばした。
日本はアジアカップで採用していた4-2-3-1システムから、国際Aマッチで初めて3-4-3システムを導入。だがペルー戦は両サイドのMFが押し込まれて5バック状態となるなど、サイドで数的優位を生み出す3-4-3システムの優位性を活かすことができずに苦戦を強いられてしまう。それでも後半からエースの本田圭佑(HONDA Keisuke)を右MFに配置する4-2-3-1システムへと移行すると日本は中盤でボールが動くようになった。
ただ後半22分にイタリアの強豪、インテル(INTER)で活躍するDF長友佑都(NAGATOMO Yuto)を左MFとして起用するなど攻撃に力を加えた日本だったが、決定的なチャンスをつくることができない。逆に試合終盤はピンチの連続。41分のMFジョシマル・ジョトゥン(Victor Yoshimar YOTUN Flores)の左足ミドルはGK川島永嗣(KAWASHIMA Eiji)が何とかパンチングではじき出し、42分にはFWラウル・ルイディアス(Raul Mario RUIDIAZ Misitich)のミドルシュートがポストを直撃した。そして44分にもゴール至近距離からMFルイス・ラミレス(Luis Alberto RAMIREZ Lucay)に決定的なヘディングシュートを放たれたが、再び川島が好セーブでゴールを守り、引き分けに持ち込んだ。
6月7日にはチェコ代表と対戦。再びテスト中の3-4-3システムを組んだ日本は本田や長友、DF内田篤人(UCHIDA Atsuto)ら海外クラブに所属するメンバー7名が先発した。前線からのアグレッシブな守備で相手のミスを誘った日本はMF長谷部誠(HASEBE Makoto)の右足ミドルなどでチェコゴールを襲う。ペルー戦で課題となった守備面が修正され、攻撃面でも決定機をつくる日本は、後半7分に本田の左クロスをDF吉田麻也(YOSHIDA Maya)が頭で合わせ、33分にはFW岡崎慎司(OKAZAKI Shinji)とFW李忠成(RI Tadanari)がゴール至近距離から連続シュートを放つ。だがチェルシー(CHELSEA、イングランド)で活躍するチェコの世界的GKペトル・チェフ(Petr CECH)からゴールを奪うことはできず0-0で引き分け。南米、欧州の強豪相手に引き分けたものの、ホームで2試合連続無得点と課題も残した。
AFCアジアカップ2011を最後に大黒柱だったMFパク・チソン(PARK Ji Sung)が代表チームから引退するなど、世代交代の最中にある韓国代表は6月3日にセルビア代表、同7日にガーナ代表とそれぞれホームで国際親善試合を行い、連勝を飾った。セルビア戦では1トップにエースのFWパク・ジュヨン(PARK Chu Young)、守備的なMFにキ・ソンヨン(KI Sung Yueng)を起用する4-3-3システムで臨むと前半10分、DFキム・ヨンクォン(KIM Young Kwon)の上げた左クロスをパク・ジュヨンが打点の高いヘディングシュートで決めて先制。GKチョン・ソンリョン(JUNG Sung Ryong)が相手の決定的なヘディングシュートをセーブするなどリードを守った韓国は、後半9分にもパク・ジュヨンとのパス交換によって右サイドを抜け出したDFチャ・ドゥリ(CHA Du Ri)の折り返しを、ファーサイドからフリーで走りこんだキム・ヨンクォンが左足でゴールへと叩き込む。後半42分にセルビアMFラトサフ・ペトロヴィッチ(Radosav PETROVIC)に右足ミドルをねじ込まれ、90分間集中力を持続させるという点に課題を残したものの、2-1で勝利した。
続くガーナ戦では前半11分、キ・ソンヨンの右CKから20歳の新鋭FWチ・ドンウォン(JI Dong Won)がヘディングシュートを決めて先制。16分にPKを献上したものの、FWアサモア・ギャン(Asamoah GYAN)のシュートを左へ跳んだGKチョン・ソンリョンがキャッチして得点を許さない。その後もガーナのパワーあふれる攻撃の前に押し込まれた韓国だが、チョン・ソンリョンがビッグセーブを連発。逆に前半終了間際にはキ・ソンヨンが自陣から放った超ロングシュートがクロスバーをかすめ、後半14分にはパク・ジュヨンの右足ミドルがゴールマウスを叩いた。ガーナにディフェンスラインの背後を取られて後半17分に同点に追いつかれた韓国だったが、それでも終了間際に歓喜が訪れる。後半45分、右クロスからチ・ドンウォンがヘディングシュート。これはGKの正面を突いたが、こぼれ球をAFCアジアカップ2011得点王のMFク・ジャチョル(KOO Ja Cheol)が右足で押し込んだ。2-1で熱戦を制した韓国が強豪からの連勝で2011年9月からスタートするFIFAワールドカップ2014ブラジル大会アジア3次予選へ向けて弾みをつけている。