3月11日、日本の三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。東日本大震災と名付けられた大震災は大津波を伴い、日本国内だけで死者1万3116人、行方不明者1万4377人(4月11日現在)という未曾有の被害をもたらした。
サッカー界でもJリーグの数クラブが被災したことにより、リーグ戦が4月23日まで開催中止になったほか、AFCチャンピオンズリーグも延期されるなど、国内外に大きな影響が出た。3月末に予定されていた日本代表の国際親善試合も中止に。だが、東アジア、そして世界のサッカーファミリーの励ましもあり、日本サッカーは復興へ向けて走り出している。
東アジアサッカー連盟からは3万USドルを義援金として贈ることが決定したほか、連盟加盟国・地域などからも義援金が送られた。また震災直後の3月15日に開催された天津泰達(中国)対ガンバ大阪のACLでは被災者へ向けて黙とうが行われ、翌16日の山東魯能(中国)対セレッソ大阪戦ではスタンドの山東サポーターから「地震は無情だが我々には友情がある。闘志は失われない。手と手を取り合っていこう」というメッセージが掲げられ、日本にエールを送った。
動きは世界へと広がった。ヨーロッパのクラブ1を争うUEFAチャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦の試合前に「私たちは日本の皆さまと共にいます」と横断幕が掲げられ、EURO2012予選の試合前にも同様の激励メッセージが日本へ向けて発せられた。ブラジルでは元日本代表監督のジーコ氏を中心にチャリティーマッチが行われた。
世界200ヵ国・地域以上から愛されているサッカー界からのメッセージの影響は大きく、サッカーを通しての励ましが日本を勇気づけている。そして日本では3月29日、日本代表とJリーグ選抜とによるチャリティーマッチを開催。4万613人が集まった大阪長居スタジアムでの一戦では44歳の元日本代表、Jリーグ選抜FW三浦知良がゴールを決めるなど会場の選手、サポーターが一体となった。「がんばろうニッポン」を合言葉に復興へ動き出した日本は元気な姿を世界へと発信。問題はまだ山積みだが、ひとつずつ解決していく。
“サッカーファミリー”から寄せられた主なメッセージ(一部抜粋)
ジョゼフ S ブラッター FIFA(国際サッカー連盟)会長
「貴国の惨状に関するニュースに悲しみの心と共に触れ、日本の皆様に対する心からのお見舞いの意を表します。 FIFAを代表し、精神的な支援の意をお伝えすると共に、我々の気持ちは被災者、負傷者およびそのご家族の皆様のもとにあることをお伝えしたいと思います」(日本サッカー協会発表)
ミシェル・プラティニUEFA 会長
「史上最悪の惨事の中におられる日本の皆様に、ヨーロッパサッカー界の強い団結をお伝えします。被災された皆さんがどんなにつらい状況にいて、どんなに悲しく感じているか、我々の思いは皆様のもとにあるとお伝えしたいと思います。 被災者の方々に心からのお見舞いの意を表し、今週のUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)の主催大会の全試合において、試合前の黙とうを捧げ、ヨーロッパと日本の団結を広く世界に示すよう指示しました 」(日本サッカー協会発表)
モハメド ビン ハマム AFC(アジアサッカー連盟)会長
「日本を襲った大惨事に深い悲しみを覚えております。日に日に状況が悪化する中、日本国民が被る苦痛や傷を思い、胸を痛めております。 日本の皆様と日本サッカー協会を始めとするサッカーファミリーに対し、我々の祈りと励ましの言葉をお伝えします。
この惨事による余波を克服すべく懸命の努力を続ける皆様と共に、我々は、アジアとしてこの難しい局面に団結したいと思います」(日本サッカー協会発表)
FCバルセロナ ジョゼップ・グアルディオラ監督
「日本が立ち上がり、復興することを願っている。今回は巨大な不幸が彼らに訪れた。映像がその猛威を物語っているし、壊滅的だ。被災した人たちに、全ての愛情を送りたい。夏にアジアツアーを組めた際には、彼らの元を訪れられると確信している」(3月12日記者会見、FCバルセロナ発表)
マンチェスター・ユナイテッド 元韓国代表MFパク・チソン
「現在、日本では想像を絶する大災害で多大な犠牲者と行方不明者が発生しています。
何と申し上げれば良いのか言葉が見つかりませんが、とても衝撃で悲しい事です。
特に、日本で選手生活を送りながら情を感じていた私としては非常に驚き、残念な気持ちでいっぱいです。
私たちは人間だからこそ自然の前では無力で仕方ありませんが、人間だからこそ互いに助け合い、頼り合い、力付くことができると思います。
これ以上の災害なしに全ての被害が一日も早く復旧できることをお祈りしております」(3月15日、マンチェスター・ユナイテッド発表)
Text:gekisaka.jp/Kodansha
Photo:Getty Images,Koki NAGAHAMA,Kaoru WATANABE