アジア各国のクラブチームにとってもっとも権威のあるAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)で、東アジアサッカー連盟(EAFF)所属のクラブがしのぎを削った。ACLのグループステージは東西に別れて開催されるため、日本、韓国、中国のクラブによる対決が数多く実現したのだ。
壮絶なバトルとなったのはグループFだ。
5月1日のマッチデイ6を前に、広州恒大(中国)が勝点10で首位に立ち、全北現代モータース(韓国)が同9で、浦和レッズ(日本)が同7で追走していた。3チームが数字上はグループステージ突破の可能性を残すなかで、5月1日のキックオフを迎える。
広州対全北の一戦は、0対0のドローに終わった。一方、ムアントン・ユナイテッド(タイ)のホームに乗り込んだ浦和は、那須大亮のゴールで1対0の勝利をつかむ。浦和は勝点10で全北に並んだものの、得失点差で3位に甘んじることとなった。
「勝点10をとれば、他のグループではどのチームも勝ち上がっている。我々の戦ったグループは、とても拮抗していた」とは、試合後のペトロヴィッチ監督(浦和)である。2度目のACL制覇を目ざした浦和のチャレンジは、惜しくもグループステージで終わりを告げたのだった。
グループEは二転三転の攻防が展開された。マッチデイ6を待たずにFCソウル(韓国)が首位を確保したが、2位争いは最後までもつれた。ベガルタ仙台(日本)、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、江蘇舜天(中国)の3チームが、2位でのグループステージ突破を目ざした。
最初に優位に立ったのは仙台だ。24分、攻撃的な右サイドバックの菅井直樹が、左サイドからのクロスを鮮やかなヘディングで叩きこむ。38分に同点とされるが、同時刻に開始されたFCソウル対ブリーラムは前半を0対0で終えていた。二つの試合がこのまま終了すれば、仙台が総得点でブリーラムを上回って2位となる。
後半開始とともに、各チームの立場は揺れ動く。FCソウルが先制して仙台がさらに有利となるが、ブリーラムがすぐに追いつく。
江蘇もあきらめない。62分、アルバニア代表FWハムディ・サリヒが、敵地のスタジアムを沈黙させるゴールを叩き出す。この時点での順位はブリーラムが2位、江蘇が3位、仙台が4位だ。
74分、FCソウルがリードを奪う。江蘇とブリーラムの順位が入れ替わる。だが、それもわずか1分だった。ブリーラムが再び追いつく。仙台は引き分けに持ち込めばチャンスがつながる。後半からFWの人数を増やし、終盤はCBをゴール前にあげるが、同点に追いつくことはできない。
最終的にはソウルと引き分けたブリーラムが、勝点7で並ぶ江蘇を得失点差でかわした。中国勢としては2010年以来となる日本での勝利をつかんだ江蘇は、あと一歩が届かなかった。
ウズベキスタンの名門が首位、広島は勝利が遠く
北京国安(中国)、浦項スティーラーズ(韓国)、サンフレッチェ広島(日本)が同居したグル-プGは、ウズベキスタンの名門ブニョドコルが首位をつかんだ。2位には北京国安が食い込んでいる。Jリーグ王者として臨んだ広島は、3分3敗で悔しい最下位となった。
Jリーグで唯一ノックアウトステージに勝ち進んだ柏
Jリーグ勢が苦戦を強いられるなかで、日本サッカーの存在感を示したのが柏レイソルだ。グループHを首位で突破し、2シーズン連続の16強入りを果たしている。グループステージでの勝点14は、アル・アハリ(サウジアラビア)と並んで最多である。
ノックアウトステージ(ラウンド16)は5月15、22両日に行なわれ、EAFF加盟国から5チームが進出した。アジアの頂点へ見据えた戦いは、ここからさらに本格化していく。