2013年のAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)は、東アジアサッカー連盟(EAFF)のレベルを広くアジアへ示すものとなった。柏レイソル(日本)、FCソウル(韓国)、広州恒大(中国)の3チームが、ベスト4入りを果たしたのだ。
広州恒大とFCソウルは決勝戦に勝ち残り、EAFF所属の2チームが優勝をかけて激突した。ACLが現行のフォーマットとなった2002-03年以降で、EAFFのクラブ同士がアジアの頂点を争うのは初めてである。
10月26日に行なわれた決勝戦ファーストレグは、2対2の引き分けで終了した。ホームのFCソウルが先制し、広州恒大が逆転し、FCソウルが追いつくというスリリングな展開は、第2戦がさらに白熱したものになることを予感させた。
果たして、11月9日に再び相まみえた両雄は、息をもつかせぬ攻防を展開する。
序盤の主導権を握ったのは、ホームの広州恒大だ。13分、右サイドから持ち込んだムリキがペナルティエリア内で倒されるが、バーレーンのナワフ・シュクララ主審はホイッスルを口に運ばない。PKではなかった。
5分、コンカの左足シュートが右ポストを叩く。23分、今度はエウケソンだ。左足の中距離砲が相手GKを襲う。広州恒大の攻撃を牽引してきた外国人トライアングルは、この日も好調だ。
FCソウルにチャンスがなかったわけではない。ファーストレグで得点をあげたエスクデロ・セルヒオとデヤン・ダミヤノビッチが、相手守備陣にストレスを与える。ただ、チーム全体としてディフェンスにまわる時間が長く、決定機を作るまでには至らなかった。
エンドが変わった後半も、広州恒大がペースを握る。49分、ワンツーでムリキがGKと1対1になる。しかし、ゴールネットを揺らすには至らない。
広州恒大のチームカラーである赤に染められたスタジアムに、熱狂が訪れたのは58分だった。ムリキのパスを受けたエウケソンが、巧みなトラップからゴール前へ飛び出す。追いすがるDFを寄せつけず、右足でゴールネットを揺さぶる。5万人をこえる観衆は総立ちだ。
FCソウルもすぐに反撃する。63分、エスクデロのパスを受けたダミヤノヴィッチが、ゴール正面から豪快に蹴り込む。
この時点で試合は全くのイーブンだが、アウェイゴールで広州恒大が上回る。セカンドレグが1対1で終われば、マルチェロ・リッピ監督率いるチームに凱歌があがる。
だが、広州恒大が攻撃の手を緩めない。後半が追加タイムに突入しても、意図的に時間を稼ぐようなことはしなかった。互いの技術と戦術、それにフェアプレー精神がぶつかり合った好ゲームは、1対1のまま終了する。国内リーグ3連覇を決めていた広州恒大が、中国勢初のACL制覇を成し遂げたのだった。
リッピ監督は誇らしげに語った。
「我々はグループステージで優勝経験のある浦和(日本)を破り、決勝トーナメントでは柏(日本)から勝利をつかんだ。そして決勝で、FCソウルを下した。数多くの強豪を倒してきた足跡は、チャンピオンに値すると言っていいだろう」アジア王者に輝いた広州恒大は、12月11日開幕のFIFAクラブワールドカップ2013に出場する。大会初戦となるアル・アハリ(エジプト)との準々決勝を制し、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)が待ち受ける準決勝へ進んでほしいものだ。
ちなみに、オセアニア代表のオークランド・シティFC(ニュージーランド)には、日本人の岩田卓也が在籍している。自身2度目となるクラブワールドカップで、30歳のDFがどのようなプレーを見せるのかも注目だ。